事故内容

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事故品全体の写真 事故部分の写真
品名
中わた入りハーフコート

状態
脇やポケット周囲、背中切替え部分、裾などの縫い目部分に沿って黒く濡れたような状態の濃色化が生じている。

素材
表地:ポリエステル100%
裏地:ポリエステル100%
中わた:ポリエステル100%

取扱い絵表示
107 202 304 402

処理方法
石油系溶剤によるドライクリーニング24分、
タンブラー乾燥60℃・40分、
ハンドアイロン仕上げ。

際つきのおきやすい製品特徴と原因

・高密度織物や、コーティング(裏面コーティングを含む)生地でできた中わた入りの製品が、クリーニング時などに溶剤(や水)を内部に含んだ場合、乾燥過程では、内部の溶剤(水)は、生地全体から均等に蒸発するのではなく、針穴付近など特定部分から溶剤(水)が抜けるので溶剤中(水中)の不純物が多く残りやすい。
・中わた入り製品の際つきは、一般には、ドライクリーニング時よりも水洗い時の方が発生しにくいが、本品は、ドライクリーニングしかできない表示であった。

防止方法

アパレル

・水洗い不可、タンブラー乾燥禁止の表示を安易に付けない。
・ダウン製品の場合は羽毛が含んでいる油脂分が溶解し、シミとなるケースが多いのでダウンの洗浄をしっかりとすることと、表地やほかの付属品に影響がない限りはドライではなく水洗いを推奨する。

消費者

・クリーニングから戻ってきた衣類はカバーを外して外観等確認すること。

クリーニング

・高密度織物製品は、裏返すと、脱液(脱水)の効率が良い場合がある。
・部位による乾燥むらの防止には、静止型乾燥ではなく、タンブラー乾燥が効果的な場合がある。
・タンブラー乾燥は高温ではなく、低温で時間をかけるほうが効果的な場合がある
・ドライクリーニング溶剤の管理を正しく行う。(ただし、溶剤中にソープ等があるのが一般的である。)

日繊ク協の考え方

際つきの原因は、生地素材や製品構造、ドライクリーニング溶剤の状態などによって異なる。水洗いでもドライクリーニングでも、またドライクリーニング溶剤の状態が良好でも発生し得る現象。発生率(発生要因)は水洗いの方が少ないが、生地も中わたもポリエステル(耐水性)でありながら、水洗いができない製品もあり、望ましい取り扱い方法は商品によって異なる。
苦情対応に際しては、際つきの修正を試み、不可能な場合、クリーニング事故賠償基準により賠償する考えもある。(溶剤管理が適切で、製品特性上生じている場合、賠償負担はクリーニング業者と衣料メーカー等が1/2ずつ負担するケースもある。)