事故内容

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事故品全体の写真 事故部分の写真
品名
ダウンジャケット

状態
ウェットクリーニング処理で、ところどころ色が変わったようになった。

素材
表地  ナイロン100%
裏地  ナイロン100%
中わた ダウン80%、フェザー20%

取扱い絵表示
202304403

 
 

処理方法
水洗い30℃・10分、中性洗剤

 

製品特徴と原因

・表地は、裏側に樹脂コーティングを施したもの。コーティングが剥がれた部分は、内部のダウンが透けて見えることで、部分的に変退色しているような外観になった。
・コーティング生地であることは、組成表示や、事故になる前の品物の外観からは判断しにくい。
・コーティングなどに使用する樹脂は、経時変化により劣化するものがある。(空気中の湿気などの水分の存在によって加水分解を生じるため。) この反応は、酸、アルカリ性物質の存在下、また皮脂の付着などによって促進される。
・経時変化による劣化は、一般には製造後2~3年以降の製品に生じやすい。

防止方法

アパレル

・コーティング加工素材であること(できれば樹脂の種類も)と、製造年度を調べられる記号を下げ札や縫い付けラベルに表示する。
・「商品特性」「経時変化による劣化現象」等の取り扱い注意表示を下げ札や縫付けラベルに表示する。
・「商品特性」「経時変化による劣化現象」等について、販売員への情報提供と教育を行い、販売時に消費者へ情報提供する。

消費者

・樹脂の劣化特性を理解して、購入し、取り扱う。
・皮脂を残留させない。(汚れがあればすぐに除去する。)
・高湿度環境で保管しない。

クリーニング

・樹脂コーティング素材は経時劣化することを、日常的に消費者に情報提供する。
・受付時に、樹脂コーティング素材であることを確認できる品物に対しては、樹脂の劣化特性を説明し、ダメージが生じる可能性について了承を得てからクリーニングする。

日繊ク協の考え方

・アパレル業者やクリーニング業者は、樹脂に劣化特性があることを消費者に伝えていく必要があり、消費者は、樹脂素材の寿命が繊維部分よりも短いことを理解する必要がある。
・クリーニング事故賠償基準では、コーティング品の平均使用年数は2年である。これを基にすると、コーティング素材の樹脂劣化による剥離は、販売から2年経過したものに対しては、やむを得ないとも考えられる。