製品特徴と原因
・不具合部付近では、色糸が劣化しているのに白糸は劣化していない。発生状況から、色糸の染色に「含金染料」を使っていて、ここに、酸素系漂白剤が作用し、色糸が劣化したのだと考えられる。
・また、部分的にサビやアクセサリーなどの金属成分が付着していた場合は、劣化が促進しやすいため、この可能性もある。
・色糸と白糸の交織織物で、色糸のみが脱落する例の中でも、色糸が綿、白糸がポリエステル繊維などの場合は、薬品類付着による可能性もある。ただしこの場合、不具合部周辺の色糸は変色していることが多く、本事例との見分けのポイントは、素材確認と変色の有無。
防止方法
アパレル
・含金染料は堅ろう度が良好であるが、酸素系の漂白剤で洗濯することによって繊維の脆化が生じることがあることを理解し、表示する。
・生地の染色情報を知り、含金染料が使用されているかどうか調べ、含金染料が含まれている場合、取扱い絵表示付記用語に酸素系漂白剤の使用禁止等を表示する。
消費者
・クリーニングに出す前に生地がいたんでいるかどうか確認する。
クリーニング
・色物に対しての漂白処理は避ける。
・クリーニング受付時に擦れている部分があるかどうか確認する。
・擦れを見つけたときにはお客様にお伝えする。
日繊ク協の考え方
・一般に、色糸に使用した染料の種類を商品に明示することは難しい。またこの事故は、酸素系漂白剤を使用しないことや、湿熱プレスを避けることでかなり防止できる。ただし、防止策を講じると、白糸部分がくすみやすい、シャツらしいプレス感が出ないなどの、デメリットもある。
・クリーニング処理基準では、色物に対しての漂白剤使用を推奨していない。