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服装の主役である被服は、着ている人がどのような人であるかを示すことができます。つまり服装は着装者の象徴になっていると言えます。服装のこのような働きが標識能です。

服装のどのようなことで着ている人の象徴が示されるか、まず標識方法から考えてみます。素材の高低が階級の上下を示す場合があります。高級な毛皮や絹織物は王侯・貴族を、また既成品を着ている人は庶民ということです。これが材質標識です。人体でもっとも目立つ頭部を被覆する冠帽類や肩部・胸部などに付属する徽章類などによる人の標識を形態標識と言います。服装の複雑・重厚さと単純・簡素であることの対比も着ている人の標識となります。被服のすそやそでなどの長さなどによって身分の上下を示している例が東西の服装史に見られます。これが数量標識です。王様の制服などに用いられる色彩は概して得がたい色相で、高価な色料、また鮮明な色相などであることがやはり服装史に見られます。特定の集団が特定の色彩の制服を決めて、その集団の標識としている例があります。これを色彩標識と言います。

標識内容について考えてみます。人間の性別・未婚か既婚かの区別や種属の別などを服飾によって標識することは一般的によく行なわれています。男性か女性かの性差を服飾について見ると、女性の服飾は色彩・材質・形態が装飾的・刺激的かつ優雅で変化に富んでいます。また着想の自由さが大きく便利です。また皮膚裸出の範囲が大きく動的よりも静的です。これらは生態的標識となります。服装の被服によって着装者の権威・能力あるいは地位・身分の象徴が示されます。これは服装の地位・身分・能力の標識です。現代の社会において、分化した職業・仕事などの特性に応じた被服が進んでいて、さらに職業的な働きに適応する機能を持っていると同時にその職種を表示する役目を服装は果たしています。これは職業・行動標識となります。

集団標識も標識能の中で大切です。一定の目的を持っている意志的提携や団結または利益を共有すること、また社会集団ではその目的を達成させるために服装上に人為的な特徴が与えられます。団体には政治団体、思想団体、宗教団体、文化事業団体、修養団体、青少年婦人団体などがあり、それぞれが企図している主義・主張・趣旨を達成させるための制服が決められています。ここでの標識には、所属している団体の名誉や権威が内在していますので、着用者はこれを傷つけない言動が制約されるときがあります。民族・地方・村落などに関係する集団標識は、感情的融和などが重要なので色彩は乏しいものです。そして、むしろ自然発生的に形成された集団的性格に基づいて共通の服装標識がつくり上げられています。民族服・民俗服・祭礼服などが例です。

日本繊維製品・クリーニング協議会 会長 角田光雄