Earth Day 2007 - Atlantic ReflectionEarth Day 2007 – Atlantic Reflection / FlyingSinger

このようなことを聞かれたときの常識的な答えは、身体を保護するためだというのが多いと思います。昨年の夏は非常に暑い日が続きました。そして今年はとにかく寒い冬でした。このような真夏に汗でびっしょりになってもネクタイをしめてきちんとして仕事をしている姿や、真冬にミニスカートをはいて楽しく語り合っている様子を見るとき、装いというのは身体の保護とは無関係な他人の視線が生んだものであると言えます。このようなとき他人の視線が、どのように見られている人に内面化されてくるかなどについての背景を考えると興味がおきてきます。このようなことは衣の文化としての領域になると思います。

全宇宙の生物のなかで衣生活を営むのは人類に限られています。衣・食・住は人類にとって生命維持のための三大要素です。このなかで衣は人体と接触し、人とともに働くという動的な機能を持っています。衣は体を保護することによって人体保護と体温保持の役割も果たしていることも当然です。しかしこのことは同時に衣はあらゆる社会において個人を表現するという人間なるがゆえの不可欠な資材でもあります。このようなことが食・住と異なる衣の特徴といえます。

衣服を文化の面からとらえてみましょう。たとえば世界の諸民族はほぼ例外なく固有の衣装をはぐくんできました。これは、集団に内存する共通の美意識を示すというだけでなく、衣服を作ったり着用したりすることで民族集団としての帰属感つまり民族的な独自性を作りあげることができるからです。民族衣装は他民族からの差別化という作用もあります。一方、民族集団に限らず共通の衣服を身にまとうという集団の例としては制服姿の学生や生徒あるいは少し前のルーズソックス姿の高校生などがあります。このようなときにも同様なことが言えます。衣生活を考えているととても楽しいものです。

日本繊維製品・クリーニング協議会 会長 角田光雄