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服装ができあがる(服装の構成)ことに対して、被服を用意することが第一です。そして納得できる服装を作るため被服を作ることに必要な人体を理解すること、そのために必要な、複雑な人体を計測することなどについて考えてみました(前2回)。

服装を整えるためには被服を身につけることから始まります。このことについて今回述べてみます。私たちは、いろいろな欲求によって被服を着装して服装を整えます。この欲求は個人的な生理的欲求と社会的な欲求などです。

着装心理にはいろいろあります。

人体が着るという心理。生理的な必要性によって被服が着装され身体を快適な状態に保つようにする普通の着装の心理です。生理状態が最適に保持されると快適に感じ、欲求満足の状態になります。生理的な欲求は個体差が比較的少ないので、標準的で画一的な着装心理です。

人間が着るという心理。社会生活をするとき、服装に対していろいろな欲求が生まれます。個性の表現、趣味や好みを示したいこと、自己の優越を誇示したいこと、着飾ること、あるいは他の人と同調したいという心理です。対人意識の下での着装ですから着装する人の個性が表れます。着装する人の性格、能力や気質などの個人的特性が関わるので服装に人間が表れます。

特色化と一様化の心理。人は区別・優越・誇示、つまり自己を特色化したいという欲求があります。それに対して人は可能なかぎり特定の制服などは脱いで、一般市民と同じ服装をして他の人たちと一様化していたいという心理もあります。これは特定の標識となる被服をとって窮屈さから逃れ、一般大衆の中で無名の個人として自由を欲求したいという心理ということです。一方、僧侶が僧服をまとって一般大衆の中で一般生活をしていますが、これは使命意識からだと思います。

容儀化と安易化の心理。ここで容儀というのは礼儀正しい装いのことです。容儀化の心理は、儀式・祭司・社交などのときに起こる心理で、対人意識が高揚します。このようなときには、事態の重圧を感じたり精神的な緊張を、また気分の厳しさがともないます。これに対して容易化は、弛緩・安易・軽快な心身の状態になりたいというときの心理です。つまり対人意識の束縛から解放されて独居の安易さを楽しみたいという気持ちになります。このようなときは、安易で軽快な服装を望みます。

そして容儀化と安易化という欲求は、ときには容儀化の状態を、またときには安易化の状態に置かれます。このようなことに関連する欲求は時間的には同時に満足されることはありません。これを両向性心理といいます。私たちは、実際には両向性の心理を交互に満足させながら実生活を送っています。

日本繊維製品・クリーニング協議会 会長 角田光雄