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私達は、外出するとき、家を出たあとの状態に対抗した、あるいは予想してどんな服装にしようか考えます。
流行に反逆した服装にしようか、しかし普通は流行を意識した服装で出かけます。そこでまず流行にあった被服を選んで着用します。
これは前回のコラムでお話ししました流行追随の心理です。流行以外にどのような着装心理があるのでしょうか。

人体を覆う被服は皮膚の延長としての作用があると考えることができます。皮膚は、着用している被服の表面で他の物に対する触感を認知しています。靴先で道にある石の感触を認め、手袋をつけているときは、その表面で物の存在を認識しています。裾が大きく広がったそしてきらびやかなスカート姿の女性が舞踏会で華やかなステップをふんでいる場面を洋画などでよく見ます。この女性のスカートは広い面積で床に接しています。
このときこの女性は、広がったスカートの先端までが自分自身であるという感覚になります。これらは着装による人体延長と考えられます。
このようなことも着装心理の1つと言えます(着装による人体延長の心理)。

服飾心理が極端に進んだ結果として、正常な域を越えた服装の例が東西の中世から近世にかけての服装に見られます。
また文明があまり進んでいない地域の人達によく見られる異常な装身は、原始信仰的な人間の理念が不均衡に発達したことが原因です。これらの服装は(仮装・異装の心理)の結果と言えます。

普通人は、人体着装によって服装を組み立てて、その効果を自己あるいは他の人に表そうとしています。
しかし人形芝居における人形の服装は、人の生活感情の人形による表現すなわち擬人表現の手段と考えられます。また、愛育するペットの服装は、その人の服飾心理の延長と考えることができます。
これらも一種の服飾心理として理解できます。しかしピアノに脚があるからといって、これにスカートをはかせた外国の婦人の話がありますが、これはいささか異常な心理といえます。いずれにしてもこれらの例は(擬人服飾の心理)です。

3回にわたってのコラムは、私達が被服を着装しようとする心理を、人以外の服飾の例も含めて考えてみました。私達は、ここで述べたいろいろな心理によって被服を身につけて服装を作り上げていますが、そのためには被服を準備する必要があります。その被服を購入ではなく製作しようとしたとき、つまり希む被服を製作することについてもすでに前のコラムで触れました。

日本繊維製品・クリーニング協議会 会長 角田光雄