photo credit: jjay69 via photopin cc

被服を着装することによって、主として気候や外界のいろいろな危いことから人体を保護して快適な状態を保つための被服そして服装の働き(機能)が防護能です。

いろいろなことが考えられますが、まず第一は耐候性だと思います。気候環境の変化は、人体の行なう生理衛生面の働きに大きな影響を与えます。それらの働きを補足して人体を最適な状態にしておく機能が耐候性です。そして耐候性には、寒さを防ぐために被服を装着して服装をととのえる防寒着装と暑さに対する防暑着装とがあります。

まず防寒着装について考えてみましょう。寒冷な外界への人体からの熱の放散を防ぐ、熱伝導度の低い素材で体部を被覆することが基本です。新石器時代の古いときから素材としては繊維が用いられてきました。繊維の中に空気が多く含まれているからです。空気は熱伝導性の低い代表的な物質です。防寒着装の原則は空気を着てその空気を保持することです。肌に近い部分に空気層を形成するような着装をします。そして表面には難通気性素材を用い、被服の開口を閉じるようにします。エスキモーの人たちが慣用している服装が最適な例となります。つつそで上衣と四肢分離式であるズボンの形式を採用し、フードやそで口、すそ口などを狼や狸の毛皮でふさげば、わずか4kgの衣服でブリザードの中でも快適に活動することができます。エベレストのような高い山に登るときも、このことがそのときの服装の原則となります。世界各地の服装の分布を見ますと、温暖な地方から寒冷な地域へ進むにしたがって、寛裕な垂下式から密着式の体形型の服装に推移しています。最近は保温性にすぐれた素材が開発されています。銀紙のような薄くて軽い素材で毛布5~6枚分の保温力を持っています。またNASAが開発したアルミニウムでできたブランケットを応用した生地を使い、縫い目にはテープを圧着したものでは、コート1着で約500gという軽さです。

防暑着装について考えてみます。人体の体温を中心にして、寒冷な方向には90℃の差でも対応できますが、暑さに対しては一般的には数度の高温でも対応は難しい。防暑の原則は、外熱を防ぐことと内熱の放散です。内熱の放散のためには、人体の裸出部を多くすることと、通気性の良い素材を着装し被服の開口を拡大することと、発汗の吸収と蒸発を促進させることです。高温高湿地方では、外熱を防ぐことよりも内熱放散を優先させます。一方、砂漠地帯のような高温低湿地域では、内熱放散よりも強い日射をさえぎるために全身被覆を行います。冷房などがなかった明治時代には、夏の暑い夕方、いろいろな人たちが縁台や路地でかなりラフな格好で涼んでいました。中にはふんどし一丁あるいは腹巻き一枚といった雄姿も見られました。暑さの厳しい時期には服装が多少乱れても大目に見てもらえることを、前にも言いましたが六月無礼と言います。

防護性という機能の第2が護身性です。われわれの身体は外界のいろいろなことによって傷害を受ける危険があります。被服の着装でこれらの危険を防ぐことができます。護身性には、防傷性、防毒性、防炎性、防汚性、防虫性などがあります。一般的保護服(くつ類、手袋、帽子、外被類など)、争闘用保護被服、作業用保護被服、スポーツ用保護被服(フットボール用ヘルメット)などの着装が保護性服装です。

日本繊維製品・クリーニング協議会 会長 角田光雄