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衣の持っている多様な作用や効果を知りますと、服を作ることはもとより、洗濯やクリーニングには思わぬ効果があることに気付くでしょう。そこで今回はそのような衣の多面性に目を向けてみましょう。

政治の舞台にも関係があるのです。民族衣装に身をつつみ、政府との交渉に臨もうとしている先住諸民族の姿を見かけることがあります。豊かな社会からの人達の視線を意識したメディア世界における民族的独自性を利用した戦略的なものと言えます。衣が政治的な意味を帯びたことの例です。

歴史的な立場からみますと、衣服あるいはその素材である繊維などは交易の対象であり、したがって文化の重要な媒体でした。かつて東洋の幻想的な絹を手に入れるため、欧州の人達によって陸路や海路が開拓されましたがその1つがシルクロードです。これは価値ある布地への渇望が生んだものといえましょう。

以上は政治的な面と文化的な面との例を考えてみましたが衣の持っている側面および働きと効果についてはこれらののちにいろいろと考えて行こうと思います。われわれにとって衣服はあまりにも身近であったために、衣が関係する領域に対する知的な関心は従来かならずしも高くありませんでした。つまり衣服は文字どおり「着るに適した」ものであっても文化の観点から「考えるに適した」対象としてはとらえられてきませんでした。

衣服のもつ重要性を認識することにより衣服造形、洗濯やクリーニングの意義を新しい面から確認することができると思います。このようなとき道筋をつけて考えるために、衣や衣服を服装という視点で考えて行こうと考えます。

日本繊維製品・クリーニング協議会 会長 角田光雄