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ニット素材は軽くて、通気性がよく、体の動きに制限を与えない、などの特性を活かし肌着やセーター、スポーツウェアなどに広く使用されてきました。
この特性を活かして今までもスカートやジャケットなどアウターにも一部使用されてきましたが、ここ数年はスーツなどにも使用されています。製品形状をしっかり保った製品を製造するためには、セーターなどとは異なった縫製技術が必要なことは勿論のことで、色々縫製技術開発を行い現在では多くのニットアウター製品が販売されています。

ここではピリングについて解説します。
ピリング(毛玉)は次に示す過程を経て発生します。

  1. 摩擦(スレ)により繊維が毛羽立つ
  2. 近くにある毛羽立った繊維が絡み合う
  3. だんだん大きくなり一つの玉になる
  4. さらに摩擦が進むと、毛玉(ピル)が多くなり目立つ
  5. さらに摩擦されると毛玉が脱落するものと、毛玉が増加するものに分かれる

このことからどのような繊維製品でもピリングが発生する可能性のあることが分かります。また繊維自身の強度が小さい場合は毛玉が脱落し、判定に含まれていないことがあるので要注意です。(試験方法の箇所参照してください)

ピリングが発生しやすい素材はどのような製品か考えますと

  1. 糸の撚りが甘いものや無撚のもの
  2. 編物であれば度目の甘いもの、織物であれば織り糸密度が低いもの
  3. 毛製品であれば獣毛など風合いがソフトなものを使用したもの
  4. 合成繊維の場合はフィラメント(長繊維)を使用したもの

などが挙げられます。繊維製品は繊維素材を100%で使用することもありますが、混紡や交織で使用することも多いので、素材の組み合わせ方によって、ピリング発生することがあるので、企画の段階でピリング試験で確認しておくことは重要です。

試験方法は各種ありますが、一般的にはJIS L 1076 A法(ICI形試験機を用いる方法)が採用されています。規定の大きさに裁断した試験片をゴム管に巻き付け、コルクで内貼りした回転箱にいれ編物は5時間、織物は10時間操作して、毛玉(ピリング)の発生程度を判定標準写真と比較して判定します。この時毛羽立ちは判定に含めず、毛玉(ピル)の発生状態で判定します。このため試験報告書には「毛羽立ちあり」「毛玉の脱落あり」など、付記して製品としての良し悪しをアパレルが判断しやすいようにしています。

クレームの再現試験などで、アンゴラやカシミヤを使用した製品の場合は毛玉(ピル)が脱落してしまうことがあるため、短時間での状態を確認するため、2時間、3時間、4時間、5時間と途中観察を行なっているアパレルもあります。

ピリングは上述したように摩擦(スレ)で発生しますので、クリーニング店ではお客様から商品をお預かりした時点で、着用時に摩擦を受けやすい箇所を検品することは未然防止につながります。