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特定芳香族アミン、聞き慣れない名前だと思いますが、繊維関係にご興味のある方は知っている方もいらっしゃると思います。今回は少し難しい話になりますが、なるべくわかりやすくご説明します。

特定芳香族アミンとは染料や顔料に入っている物質が変化して生成される化合物の一種です。染料・顔料とは色を染めるものですが、衣料品だけでなく身の回りのあらゆるものが染料・顔料で染色されています。その染料全体の60~70%がアゾ染料と呼ばれるものですが、アゾ染料は発色がよく色がきれいで価格も高くなく市場では多く使われています。アゾ染料にはいろいろな種類がありますが、その中に染料が分解されたときに特定芳香族アミンが生成される染料があるのです。この特定芳香族アミンという物質ですが、体内に吸収されると人体に有害な可能性がある物質ということで、ヨーロッパや中国、韓国では生成する可能性がある染料・顔料の使用禁止の規制を設けています。

では、実際にこの特定芳香族アミンを生成するアゾ染料・顔料で染色された繊維製品を着用したら人体に有害なのでしょうか。繊維製品に使われているのは、特定芳香族アミンそのものではなく染料や顔料です。染料や顔料から変化して生成される特定芳香族アミンが体内に吸収されるには、様々な過程を経なければなりません。(着用したらすぐに体内に吸収されるわけではありません。)繊維製品由来の染料が原因となる健康被害は、飲食物のように直接口から摂取する場合と比較して小さいものと推察されています。日本国内だけでなく、世界でも健康被害の発生した事例は確認されておりません。

繊維業界としては、繊維製品を作る川上から販売する川下まで含め業界全体で、より安心・安全な繊維製品提供のため自主基準を制定しています。これは人体に害を及ぼす可能性のある物質を極力使用しないためのもので、消費者により一層安心してもらうための取り組みです。