虫食いに注意【2013年1月】


photo credit: pinkcigarette via photopin cc

我が国では温暖な気候と空調設備等による安定した室内環境のため、ほぼ一年中,季節を問わず虫害が発生しています。

衣類の虫としては動物繊維のタンパク質を好むヒメマルカツオブシムシ(姫丸鰹節虫)、ヒメカツオブシムシ、イガ(衣蛾)、コイガが代表的ですが、衣類を食べるのは成虫では無く幼虫です。

従って衣類に卵を産み付けられないようにすることが肝要です。特に起毛したウールや力シミヤ、アンゴラ等の柔らかい繊維製品は好まれるので要注意です。またウール以外の毛皮や絹製品も被害に会うことがあります。

虫害は衣類の保管中に起きる事故(幼虫の成長期に当たる6月~8月に多発しやすい)ですが、クリーニング後に問題となるケースが少なくありません。これはクリーニングによる摩擦作用等で繊維が脱落し、仕上げによって毛並みが整うことで、隠れていた穴が見えやすくなるためと考えられます。

通常、虫害は顕微鏡で虫の歯型の跡を調べて確認します。しかし、クリーニング後は歯型の跡の鑑定が難しくなるので.クリーニング受付時のチェックが肝要です。虫害を受けずに長期保管するには温度・湿度・換気に留意し、防虫剤の使用が不可欠です。

そしてお客様には次の点をアドパイスしてください。
1.衣類の害虫は食べ残しのシミや汚れも栄養とするので、シーズン後はクリー二ングに出して汚れをしっかり取り除いてから収納する。
2.収納場所は清潔にし、製品の詰め込みすぎに注意する。
3.防虫剤の成分は空気より重く上から下へ広がるので、防虫剤は衣類より高い位置におく。
4.防虫剤には樟脳(しょうのう)、ナフタリン、パラジクロルベンゼン等があるが、異種の防虫剤との併用はシミになる場合があるので避ける。

なお、起毛織物は虫に食われた場合でも、地組織が残っていれば針か虫ビンを10本位束ねて生地のよこ糸を軽く引っかいて起毛すると、穴がかなり目立たなくなる。

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