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6月のコラム「毛・絹・ナイロン素材が黄変する原因」をお読みいただいてお分かりのように、黄変の原因の一つに「酸化防止剤とNOx」がありました。今回は「酸化防止剤とNOx」について防止策と解決策について考えます。

酸化防止剤の中で一番一般的に使われているのはBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)であり、抗酸化剤として食品に添加して用いたり、化粧品や医薬品、プラスチックフィルムなどの包装材料に使われていたり、はたまたウレタンフォームやゴム製品のように酸化により脆化する素材劣化を防ぐためにBHTが含まれている場合が多いです。酸化防止剤とNOxの反応により黄変が生じます。これを防ぐにはBHTとNOxの接触を避けることとなります。

まずは、酸化防止剤が含まれている可能性を考え、NOxが発生する環境を避ける、またはNOxが存在する環境に長時間置かないことが大切です。

  • 室内にストーブのガスが充満しないようにこまめに窓を開け空気を入れ替える
  • 自動車の排気ガスが多い場所で長期間保管は避ける
  • 包装材はBHTを使用したものを避ける

次にクリーニングの観点から、もし黄変してしまった場合には次の解決方法が考えられます。

  • 綿やポリエステルであれば、黄変物質は繊維の上に乗っているために、洗うことで落ちる場合がある(BHTは有機物なので有機溶剤に溶け易く、ドライ洗浄がお勧め)
    但し、同じ黄変でもナイロンの場合は素材そのものを変化させているので洗っても落ないケースが多い
  • 晴天時に日光に当てると紫外線の作用で黄変が取れる
  • 使用繊維によって異なるが、黄変部を酸性にすることで消える(アルカリにすると戻る)

過去に実際にあった私の体験談をご紹介します。某アパレルさんからのご相談で海外から船便で送られてきたパッケージを開けると数点が部分的に黄色くなっている。このままでは販売できないので何とかして欲しいとのご相談でした。確かストレッチ素材の白い綿ジャケットでした。訳も分からずまずは洗ってみることにしましたが、数点は落ちましたがそのうちの2点がどうしても黄変が消えません。どうしたものかと考えながら数時間窓際に下げておいて、とうとう発送の時間が来たので慌てて箱詰めし「2点は黄変が取れません」というメッセージを同封したのですが、翌日電話をいただき「みんな綺麗に取れていてたすかりました!」とお礼を言われたのです。私はすかさず「そんなことはないはず、昨日の発送時には消えてなかったんだけど・・・」と、不思議な体験でした。その後諸先輩方のご意見を伺うと確かに太陽光に照射すると消えることもあると伺い、今ではとても納得できます。