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6月と10月は一般的に衣替え時期といわれています。
その衣替えの時に去年しまっておいた毛素材や絹素材の製品の黄ばみを発見したという経験ありませんか?

黄ばみに限らず、保管中の変色事故の代表的な要因として「光」と「ガス」に起因するケースを多く見ます。そして、それらの事故部位を観察すると大きな違いがあります。
「光」が主たる要因であった場合、表面(外気に触れている面)のみに変色を示すケースが多く、「ガス」の場合は「光」による変色と同様に外気を触れている部分に発生する傾向が強いですが、表面・裏面共に変色するケースが多くを占めます。
変色事故など衣料品の事故は、単独的な要因によって発生するケースは少なく、様々な要因が複雑に作用し影響することにより、変色を誘発し時には助長することもあります。

さて、今月のキーワードは「毛・絹・ナイロン素材が黄変する原因」についてです。

衣料品は様々な要因で黄変してしまいます。この黄変は「素材の黄変」、「汚染による黄変」の2つに大きく分類することが出来ます。前者は素材や染料、加工剤などの素材自体が黄変してしまうケースです。また、後者は機械油や酸化防止剤とNOxの複合作用、再生紙からのバニリンによる黄変などが挙げられ、これらは外部からの黄変物質(黄変する性質のある物質)の付着によるケースといえます。

毛や絹などのタンパク繊維の黄変、褐変現象は古くから知られています。一般的にタンパク繊維は、紫外線、二酸化窒素ガス、酸素、水分、熱などによって繊維が酸化し、黄褐変や脆化が発生するといわれています。しかし、この現象の要因は極めて複雑であり多岐にわたっているため、その要因を特定することは困難であることから、さまざまな立場でこの要因について検討されています。また、ナイロンは、毛や絹と繊維組成的に類似していることから同じような条件下において黄変しやすいといわれています。

すこし難しい解説になりますが、絹繊維の黄変原因物質(チロシン残基、トリプトファン残基など)の酸化が黄変に起因すると考えられています。また、タンパク質が光化学的酸化し有色化合物の生成、その他の色素物質やその分解物なども黄変要因として挙げられています。
また、ナイロンの場合は、NOxガスにより化学的な反応によって黄変を発生させるといわれています。
つまり、環境によって素材そのものが変質することにより黄変するため、素材の特性と理解していただき、このような事故を避けることは難しいことを末筆に添えさせていただきます。