- 品名
- ダウンコート
- 状態
- クリーニング後、各キルティング内でダウンが端に片寄ってしまった。
- 素材
- 表地:ポリエステル100%
裏地:ポリエステル100%
中わた:ダウン80% フェザー20% - 取扱い絵表示
- 処理方法
- 水洗い・自然乾燥
事故内容
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事故品全体の写真 |
製品特徴
・ダウンは、水や溶剤の中に入ると羽毛(ダウン)の広がりが減少する。この為、洗いや脱水・脱液工程で移動し、キルト(小部屋)の端などに片寄りやすい。羽毛(ダウン)の片寄りを防ぎ、嵩高性を回復させるには、乾燥時に十分ほぐすと共に、叩くことが重要。
ダウン製品の作り方
ダウンの製造工程
- 洗浄
- 遠心分離(脱水)
- 乾燥(乾燥温度120~140℃で乾燥させる)
- 冷却除塵
- 選別
- 収納
- ミキシング
遠心分離は、洗濯後の脱水工程になる。
乾燥工程ですが、上記条件は、乾燥するための熱源としての蒸気の条件となる。(実際に羽毛が120℃~140℃になるわけではない。羽毛と乾燥機が接触する部分は、120℃になりますが、羽毛自身は80℃程度。)
高温乾燥された羽毛を冷却し、最終的に再度徹底した除塵を行う。
風力を用いて羽毛を飛ばし、ダウン、大きいフェザー、小さいフェザーなど重量によって区分けされる。
選別されたそれぞれの羽毛を空気搬送し、収納袋に一定量ずつ詰める。
必要に応じて品質調整の為に、加工済み羽毛を混合する。
ダウンの詰め方
1.ダウンパックを使用する際に多い作成方法
ダウンパックをこの方法で作成し、後で裏地・表地をつける。又は、ダウンパックと表地(裏地)を二重にして作成
- 生地を袋状に作成し、羽毛を充填し封入口を閉じる。
- その後羽毛を均一にならしキルト(小部屋)を作る。
- メリット:生産性が高く、コストが安い。
- デメリット:キルト(小部屋)を入れる際に羽毛を一緒に縫ってしまうため、針穴から吹き出しやすい。
2.ダウンパックなしの場合に多い作成方法
- 生地にキルト小部屋をつくる。
- そのキルト小部屋に羽毛を充填し、封入口を閉じる。
- メリット:キルト(小部屋)の針穴の下に羽毛が無い為、吹き出しにくい。
- デメリット:製造工程において手間がかかる。
防止方法
アパレル
ダウンが片寄りにくいようなキルティング形状にする。キルト(小部屋)が大きいなど、ダウンが片寄りやすいデザインの場合は、片寄りやすいことや、振って直すことなどの情報を縫い付けタグなどに記載する。
消費者
ダウンは、着用や保管中にも多少は片寄る。時々振るなどして片寄りを防止する。
クリーニング
ダウンが、極端に片寄ったまま仕上がることのないよう、なるべく均等になるように修正する。仕上がり時に片寄りがないことを確認する。
日繊ク協の考え方
クリーニング後にダウンの偏りがある程度発生してしまうことはやむを得ないが、偏ってしまった場合の修正方法は、タンブル乾燥機は有効な方法である。しかし、これだけの処理では、一度偏ったダウンを完全に均一化することは困難であり、過度の処理は側生地を痛め、かえって縫目等からの吹き出しを招く要因となる。
そのため、タンブル乾燥機である程度乾燥したら、取り出して吊干しで完全に乾燥することが望ましい。その際、手で軽くたたいて偏りや塊を解く操作が効果てきである。
塊は乾きにくいが、無理にダウンの塊を手で引きちぎったりすることなく、何度か軽く手でたたいて乾燥にあわせて解いてくことが肝要である。