事故内容

08 09
事故品全体の写真 事故部分の写真
品名
ジャケット

状態
上掲写真の白丸部分に著しくピリングが生じている。同位置の裏地にも目寄れなどが生じている。

素材
表地 ポリエステル94%、ポリウレタン6%
裏地 ポリエステル100%

取扱い絵表示
107202303401

 
 

処理方法
石油系ドライクリーニング、タンブラー乾燥60℃・30分

 

製品特徴と原因

製品は紳士のスーツ上衣であり、事故発生部位は両肩部分、後身頃下方部分に目立ってピリングが発生している状態であった。
事故部分の外観の状態からピリングによる外観変化によるものではないかと思われる。
ピリングとは繊維が絡まり生地表面に毛玉を生じることをいう。また、一般的なピリングの発生のメカニズムは以下の通りである。

  1. 着用中の摩擦等、機械的・物理的作用により、表面に毛羽立ち生じる。
  2. 毛羽だった繊維の先端で毛羽が絡み合ったり、場合によっては他の製品からの繊維が付着、絡み合って毛玉(ピル)が生じる。

事故品のピリング発生部位を観察すると、特定の部位に目立って発生している事から、着用条件中において該当部位に継続的な外的作用(例えば、バックパックなどによる擦れ)が働いた可能性が推測される。

防止方法

アパレル

デリケートな素材や厳しい着用環境が想定されるアイテムに使用される生地は外観保持性能を予め確認する必要があると思われる。また、素材の風合いを重視する場合、消費者に対し注意喚起を促していただくことも検討する。
一般的には紡績糸にピリングが発生し易い傾向にある。また、フィラメント糸使いの生地においてもその評価方法はあるので、厳しい着用条件が想定されるアイテムの場合は事前に確認する。

消費者

継続的な着用や洗濯などの処理によって、購入時のままの外観を保持する事は難しい。
ピリングの発生は着用条件によるケースが多いので、風合いの良いデリケートな素材の場合は注意する。

クリーニング

お預かり時に毛玉の有無を確認する。特に擦れ易い部分には注目する。
特に擦れ易い部分には注意する。

日繊ク協の考え方

ピリングの発生は生地性能によるケースや、消費者の着用条件・環境や取扱履歴によるケースなど様々である。
クリーニング店でのお預かり時に予め外観を観察し毛玉の有無を確認し、消費者に理解を賜る事が、クリーニング後のトラブルを未然に防ぐ方法の一つになるのではないかと思われる。