事故状況と原因
シミ部分を顕微鏡観察したところ、カビの胞子や菌糸のような異物が確認されたことより、カビが原因と推測される。
カビが発生するには次の3つの要素が必要である。
- 適度の温度(温度約27℃が最適)
- 高い湿度(湿度約90%程度が最適)
- 養分の存在(綿や紙など天然セルロース系物質は素材自体が養分となる)
更にこのような条件で2~3日放置されるような時間も必要である。
カビが発生する要因の中で最も重要な要素は、2.高い湿度である。シミは袖口カフスや剣ボロ、右前裾など生地が重なっている箇所に発生していることより、乾燥が不十分のため、部分的に高い湿度を生じるような状態で放置されたと考えられる。
防止方法
アパレル
- 生産時に工場でプレス仕上げする際には、十分乾燥させてから畳み包装する。
- 生産時に不慮の事故等で水などがかからないようにする。
- 海外生産の場合、輸送中に急冷されて袋の中で結露が生じないようにする。
消費者
- 家庭洗濯の際には、十分に乾燥させる。
- 保管の際には、包装袋を外して湿気の多い場所での保管は避ける。
クリーニング
- 製品は、十分に乾燥してから包装する。
日繊ク協の考え方
カビは条件さえ揃えば発生するが、その中でも最も重要な要素は高い湿度である。湿気の少ない状態で保管することが望ましい。