事故内容

     

事故品全体の写真                事故部分の写真

      

正常部の拡大写真                事故部の拡大写真

品名

紳士ベスト

状態

背中部分にシミのようなものがあり、洗い直しても消えない。

素材

表 地:前身頃 毛100%、後身頃 ポリエステル100%

裏 地:ポリエステル

取扱い表示

  

処理方法

石油系ドライクリーニング、加熱静止乾燥、ハンドアイロン仕上げ

製品特徴と原因

本製品はジャケットを重ねて着る時の着心地や着脱しやすさをよくするために、後身頃に表面がなめらかなポリエステル綾織生地を使用している。綾織生地はタテ糸とヨコ糸が1本ごとに交差しているのではなく、タテ糸が2本浮いて交差している。このような生地は光沢に富むが摩擦に弱い。

生地を拡大してみると、正常部はタテ糸とヨコ糸が規則正しく交差しているが、事故部はタテ糸が蛇行しヨコ糸も斜め右上方向にずれていることが確認できる。シミのように見えたものは汚れ等の付着ではなく、局部的に力が加わり生地組織がずれたために、シミと見えた部分は光の反射が正常な部分と異なり色が変わったように見えたと推測される。

防止方法

アパレル

  • 事前に目寄れや滑脱抵抗力の検査で生地性能に問題がないかを確認する。
  • 生地の特性上、局部的な力が加わると目寄れが起きやすいことを下げ札や縫い付けラベル等で表示する。

消費者

  • 着用時に局部的な力(バッグのひもやイスの背もたれなど)で摩擦されないように注意する。

クリーニング

  • 受付時に目寄れやキズなどがないかを確認する。
  • 摩擦に弱い生地の製品の場合、クリーニングネットに入れる。

日繊ク協の考え方

クリーニング工程で部分的にこのような目寄れが発生することはほとんどないと考えられる。アパレルは生地の特性をわかりやすく注意表示し、消費者は注意表示を確認し無理な使用・着用は避けるようにする。