- 品名
- コート
- 状態
- 全体各所ボンディングの生地と生地の間に空気が入ったような状態になっている。
- 素材
- 表側:ポリエステル100% 裏側:ポリエステル80%、綿20%
- 取扱い絵表示
- 処理方法
- 石油系ドライクリーニング、タンブラー乾燥
事故内容
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製品特徴と原因
ボンディング生地とは、2枚の生地を接着剤で貼り合わし、1枚生地の仕様になっているものである。2枚の生地を貼り合せることにより、表側と裏側に異なる組成・組織を用いることが出来る。例えば、冬物衣料で表側がツイル、裏側がボアのようなもので保温性を高めたり、厚みが増すため風を通しにくい特性もある。
空気が入ったようにぶくつきが生じる原因として、次の4点が考えられる。
- 表側生地と裏側生地の接着剤がドライクリーニング溶剤により溶解し、部分的なはく離が生じる。
- ドライクリーニング溶剤により接着剤が可塑化(軟化)し、さらに表側生地と裏側生地との収縮差が生じはく離する。
- 着用時に肘・肩等で頻繁に屈曲する箇所で揉み作用が起こり、接着剤の接着力がそれに耐えきれなくなりはく離する。
- 接着剤の経時劣化によりはく離する。
防止方法
アパレル
- 生地や製品の事前試験として、商業クリーニング(石油系)にて、外観、寸法変化率を測定する。物理作用については、摩耗強さ(揉み試験)を実施してはく離の有無を確認する。
- 注意表示として、「過度な揉みに対すること」、「経時変化による劣化現象」、「保管時に湿気を避けること」等を表示する。
- ボンディング素材であることを表示するのが望ましい。
消費者
- 樹脂の劣化特性を理解して購入し、取り扱う。
- 皮脂を残留させない。(汚れがあればすぐに除去する。)
- 高湿度環境で保管しない。
クリーニング
- ボンディング素材の経時変化による劣化現象について、消費者に情報提供する。
- 受付時に接着剤の劣化特性を説明し、はく離が生じる可能性について了承を得てからクリーニングする。
日繊ク協の考え方
- アパレル業者は、クリーニングに耐える素材を企画生産する。
- アパレル業者やクリーニング業者は、ボンディングの接着剤に劣化特性があることを消費者に伝えていく必要があり、消費者は接着剤の寿命が生地部分より短いことを理解する必要がある。