人がいてはじめて服装が成り立ちます。 その人はどのようにして現在のような形になったのでしょうか?

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服装が成り立つためには、被服を身につけようあるいは衣服を着ようという人と、それを意識する人の存在が必要です。

ということなので、まず人について考えてみましょう。人の進化の系統がチンパンジーとの共通祖先から別れたのはアフリカであるといわれています。人は今や世界中に広がって生存しています。

このようなことの理由として、ヒトには何か飛躍的な進化があったのでしょうか。チンパンジーも含めて、ほ乳類には細胞表面にある種の糖の構造を持った酵素がある働きをしています。約200万年前に突然変異が起きて、この酵素はヒトでは全く働かなくなったそうです。脳と他の体の組織の間にあった垣根の役目を持っていたこの酵素が取り払われたことになり、ヒトの脳を巨大化させたのが飛躍的進化の原因であるという説があります。

この人類は、初期の段階では森林の中の水中で暮らす生活様式を採用したことによって直立二足歩行のみならず体毛の減少、涙、長い髪の毛などの特徴を身につけたといわれています。これは水生類人猿仮説です。一方サバンナ仮説は人類がアフリカの森林からサバンナに進出したときに、移動のエネルギー効率の点や体温調節の点でも直立二足歩行は適しているから直立二足歩行になったという仮説です。

人類という生物はいつ、どこで、どうして出現したのだろうかということは人類学の最も大きな課題であり、今でも論争は絶えません。

日本繊維製品・クリーニング協議会 会長 角田光雄

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