衣服と被服の用語の使いわけ。また装束あるいは衣裳などはどのように定義されるでしょうか
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衣服が身につけられて構成された服装には、あとでお話ししますようにいろいろな形態や作用があります。その理由を考えてみましょう。もともと衣服の素材は、比較的に加工しやすい性質や繊維という形をもつものが多いためです。そのため人は衣服を製作するときにあれこれと意匠をこらして多彩な装飾などをほどこします。そのようなときに衣服を作る人の美意識にはじまる多様な文化的なまた社会的な内容を織り込んで行きます。衣服というものが人に着られていつも他人の視線にさらされていることや、素材そのものが金属やガラスなどと異なって柔軟性があることなどが衣服のになう機能や意味に大きな広がりがでてきます。
このようなことから服装にはいろいろな用語があります。このコラムでも、衣とか衣服また被服などを区別することなく使ってきました。そこでいろいろな用語を定義してみましょう。
服装:前回のコラムで定義しました。
衣服:人体の軀幹部(胴、腕、脚)をおおい包む被服のことです。かぶりものやはきものは含みません。
被服:着装の目的で人体各部をおおい包む被覆物の総称のことなどです。かぶりものやはきものなども含まれます。
衣裳:しきたりによって定まっている被服のことです。たとえば民族、階級、時代、地方、行事、演技などに特有な被服で花嫁衣裳、舞台衣裳や民族衣裳などがその例です。
日本繊維製品・クリーニング協議会 会長 角田光雄