当協議会は、12月2日(水)に第9回日繊ク協交流会議を東京都組合・白王ビル(東京都文京区)で開催しました。基調講演とパネルディスカッションの2部構成となった今回の交流会議には102名が参加しました。

開会の挨拶で角田会長は、「美しさに対する非常に繊細で優しい感覚は、我々日本人の大きな特徴です。この感覚を土台とするアパレル産業はこれからも成長性を秘めており、本協議会としても発展を支える活動を続けてまいります」と挨拶を述べました。
続くご来賓挨拶では、厚生労働省 医薬・生活衛生局 生活衛生・食品安全部 生活衛生課の髙田朋子課長補佐、経済産業省 製造産業局 繊維課の松田正樹課長補佐、消費者庁 表示対策課の小椋容一景品・表示調査官から日繊ク協の活動に対する期待の言葉をいただきました。

基調講演 アパレルの機能性と快適性~研究の現状と課題~

文化学園大学・田村照子特任教授を講師に迎えまして、「アパレルの機能性と快適性~研究の現状と課題~」をテーマとした講演を行いました。クールビズ・ウォームビスを機にアパレルの開発・発表が促進された機能性衣類について、機能性の研究方法やアパレル業界が今後取り組むべき機能性の開発についてお話いただきました。

一般的に機能性衣類と呼ばれる性能は、大きく分けて「機能性」と「快適性」の2種類があります。機能性とは紫外線防止などの効能・効果を向上させる機能のことで、快適性とは着用してもストレスを感じない、あるいは着用することで不快感やストレス状態から快適に向かうことのできる機能を指します。加えて今後は、着用した対象が身体的・精神的・社会的に安寧な(安らかな)状態になる「健康性」が必要になると考えられます。

先の機能性と快適性の機能について、特に快適性は調査対象である人間の健康状態や年齢、環境条件次第で快・不快の感応が変化するため、定量化することが難しいです。そのため、人間と同様の形状、発熱、発汗の機能を持たせたマネキンを活用して計測し、快適性の評価を行っております。実際にISO9920で発汗サーマルマネキンを使用した衣類の温熱特性評価法の規格が定められているなど、JISやISOへの展開が認められております。

今後は、安心や信頼性を確保するために製品の評価法を確立して機能性に関するガイドラインを設定することが課題です。加えて、消費者が機能性・快適性衣類を着用した際に着用していない時と比べて機能や快適の差を実感できるようにすることが重要としました。また、これから市場拡大が期待されるアジアに向けて、現地の気候や風土、文化などの特性を研究することや、将来的に資源および環境保全などを総合した持続可能なファッションを目指していくことが必要になるとしました。

パネルディスカッション 新JIS取扱い表示記号(JIS L 0001)の運用におけるアパレル、クリーニングの取り組むべき課題

基調講演後にアパレル、クリーニング、検査機関の業界関係者による「新JIS取扱い表示記号(JIS L 0001)の運用におけるアパレル、クリーニングの取り組むべき課題」をテーマとしたパネルディスカッションが開催されました。

ディスカッションでは、まず各業界の新JISに対する対応が紹介されました。アパレル業界は関連業界の団体・企業が集まって表示記号を衣類に付ける際のガイドラインを作成し、クリーニングではクリーニング師研修等を通じて以前からISOの情報を取り上げ、事業者に周知して。また検査機関は新JISに対応する試験方法を確立しております。
一方で、今後の課題として検査機関の試験条件と実際のクリーニング店および家庭洗濯の洗濯条件に差があること、新JISでは取扱い表示を付けるための試験が明確に定められているためクリーニング店でも日々の洗浄条件やソープ濃度等を記録し、万が一クリーニングトラブルが発生した場合は記録を基に「クリーニング事業者の責任による事故でないこと」をデータで証明・解決する必要性があることが示されました。
さらに、平成28年12月に開始される新JISの運用に向け、各業界が内容をよく理解して適切な表示の付与や洗濯方法を選ぶとともに、消費者に向けた啓発に努める必要があることが確認されました。

パネルディスカッション出演者(敬称略)

パネラー
・神崎 晃(一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会 コンプライアンス委員会・品質管理小委員会/株式会社レナウンアパレル科学研究所 統括担当部長)
・小野 雅啓(クリーニング綜合研究所 所長)
・小野 永美子(一般財団法人カケンテストセンター 品質保証部 部次長)
コーディネーター
・市川 駿(日本繊維製品・クリーニング協議会 専務理事)

第9回日繊ク協交流会議 開催概要

日 時

平成27年12月2日(水)14:00~17:35(受付は13:30から)

会 場

東京都クリーニング生活衛生同業組合「白王ビル」2階 大ホール
〒112-0004 東京都文京区後楽2-3-10

主 催

日本繊維製品・クリーニング協議会

後 援

厚生労働省
経済産業省
消費者庁

プログラム

開会式(14:00~14:20)

基調講演(14:20~15:50)

テーマ
アパレルの機能性と快適性~研究の現状と課題~

講 師
文化学園大学 特任教授 田村 照子氏

休 憩(15:50~16:00)

パネルディスカッション(16:00~17:30)
テーマ
新JIS取扱い表示記号(JIS L 0001)の運用におけるアパレル、クリーニングの取り組むべき課題

パネラー
一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会
コンプライアンス委員会・品質管理小委員会 神崎 晃氏
(㈱レナウンアパレル科学研究所 統括担当部長)

クリーニング綜合研究所 所長 小野 雅啓氏

一般財団法人カケンテストセンター 品質保証部 部次長 小野永美子氏

コーディネーター

日本繊維製品・クリーニング協議会 専務理事 市川 駿

閉会式(17:30~17:35)