獣毛【2015年11月】

photo credit: New project via photopin (license)

秋も深まり暖かいセーターやコートなどを手に取る季節になりました。暖かい素材というと毛が思い浮かびますが、一般的に毛と呼ばれている素材にはいろいろな種類があります。毛の素材で一番よく使われているのは羊からとれる羊毛で、その他羊以外からとれる毛を総称して獣毛と呼びます。今回は獣毛の代表的な素材をご紹介します。

カシミヤ

ウシ科山羊属のカシミヤ山羊から採取される毛です。軽くて、保温性に富み、手触りは柔らかくなめらかで光沢感があります。ニット製品やコートやジャケット、マフラーなど広く使われています。

モヘヤ

ウシ科山羊属のアンゴラ山羊から採取される毛です。毛は純白で光沢が強く美しく、ハリ・コシが強くなめらかな特徴があります。ニット製品や、吸湿性に優れ、軽い、フェルト化しないなどの特徴もあるため高級紳士服にも使われています。

アンゴラ

兎(うさぎ)科のアンゴラ兎から採取される毛です。色は純白で軽く、暖かく、手触りはなめらかで柔らかですが、毛が落ちやすい性質があります。柔らかさを生かして婦人のニット製品やコート、ジャケットなどに使われています。

キャメル

らくだ科らくだの双瘤(ふたこぶ)らくだから採取される毛です。毛はらくだ色で脱色が困難なため、そのままか濃色に染めて利用されます。保温性、弾力性に富み軽く手触りが柔らかで、高級ニット製品やコートなどに使われています。

アルパカ

らくだ科リャマのアルパカから採取される毛です。色は黒、白、褐色等自然色で、柔らかで保温性に富みなめらか、繊維は均一で光沢があります。ニット製品などに使われています。

ビキューナ

らくだ科リャマのビキューナから採取される毛です。色は黄金、栗色で光沢に富み、繊維は細く柔らかく、希少価値があり「獣毛の宝石」とも呼ばれ、たいへん高価です。


 

今回ご紹介した獣毛は羊毛繊維にはない柔らかく独特な手触り、光沢、保温性などそれぞれ優れた性質があります。その反面、毛羽抜け、毛羽折れ、毛玉ができやすい、虫やカビの害を受けやすいなどデリケートな性質もあります。

着用・取扱いでは、連続着用は避け着用後はブラシ等で毛並みを整えておく、他の衣料に抜けた毛が付いた場合はエチケットブラシ等でやさしく取り除く、毛玉ができた場合は引っ張らずに早めにハサミなどで丁寧にカットする、汚れはシミや虫食いの原因になるので、必ずクリーニングをして汚れを落とし、防虫剤を使用し高温多湿を避けて保管する、など十分な注意が必要です。アパレルでは上記獣毛製品の注意事項をアテンションタグ等で消費者に伝えることがトラブル防止につながります。

クリーニングに際しては、受付時に着用中に擦れやすい部分などの確認を行い、消費者にも確認後預かることが望まれます。洗浄は取扱い絵表示を確認後ドライクリーニングしますが、乾燥温度を上げすぎないこと、乾燥し過ぎないことが望まれます。

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