表示が変わります(新JIS表示)【2016年3月】
衣料品には小さなラベルが付いており、それにはその衣料品の取扱い方法が記載されています。この取扱い方法(表示)は、家庭用品品質表示法の繊維製品品質表示規定に定められており、日本工業規格JIS L 0217で家庭洗濯、塩素漂白、アイロン掛け、ドライクリーニング、絞り方、乾燥の記号(絵表示)が規定されていました。これらの絵表示は、日本独自の記号であり、長年にわたり使用されてきました。
一方、世界では、取扱い絵表示は国際標準化機構(ISO)が定める記号を使用していることが多く、特に海外で販売している衣料品を輸入する際には、ISOの取扱い絵表示を日本独自の記号に置き換える煩雑な作業が必要でした。
日本がISOの絵表示を使用していなかった理由は、ヨーロッパで使用している洗濯機と日本で使用している洗濯機とが異なること、ISO規格に自然乾燥方法の記号がないこと、ISOの基本記号に商標権が存在することなどです。そのため、簡単に変更できなかったのですが、2012年のISO規格変更に伴い概ね問題が解決したことで、いよいよ日本でのISOの表示記号の採用に拍車がかかりました。
そして、2014年10月に経済産業省は日本工業規格JIS L 0001を制定しました。
【例】
![]() 家庭洗濯 |
![]() 漂白 |
![]() タンブル乾燥 |
![]() 自然乾燥 |
![]() アイロン |
![]() ドライ |
![]() ウエット |
続いて、消費者庁は2015年3月31日に繊維製品品質表示規定を改定し、JIS L 0001の記号を法律で採用し、2016年12月1日から施行することとしました。
現在の絵表示と比較して大きく変わった箇所は、取扱い表示内容として、酸素系漂白剤の可否が追加、タンブル乾燥の可否が追加、ウエットクリーニングの可否が追加されたことです。更に、表示する際には上限表示(一番厳しい取扱い方法)が必要です。表示責任者は、過保護表示にならないように根拠をもって、自社製品のブランド、グレード、価格などから、より適切な「取扱い表示」を決定し、消費者に取扱い情報を提供することが重要です。
なお、新しい取扱い表示の切り替えについて、施行日前の2016年11月30日までに現行表示(L0217)したものは、施行日の12月1日以降も表示を変更することなく販売することができます。12月1日以降から新たに販売を予定しているものは新JIS表示(L0001)を付けて生産することが必要です。
アパレル産業界はできるだけ混乱なく切り替えられるよう周知活動を行っていますが、数年間は市場に新、旧の表示記号が混在します。関連する各業界とも十分に対応を行っており大きな混乱はないはずですが、各自しっかりと内容を理解しておきましょう。