商業クリーニングの仕上げ方法【2016年9月】

商業クリーニングでは、基本的に家庭でアイロンを掛けるのと同じように熱と水分を使って仕上げを行っていますが、使用している道具や方法が少し違います。

衣類の仕上げ原理

元来衣類の繊維は、乾燥された状態では「弾性」があり、ちょっとした折りシワは元に戻るという性質を持っています。
しかし着用によって繊維の弾力を超える力で折り曲げられるとなかなかな直せないシワになります。
そこで仕上げではわざと水分を加え、直したいシワを伸ばして(理想の形にして)熱を加え素早く乾かすことによりそのシワを消し、弾性を復活させその形をキープさせているのです。

家庭で使用するアイロン仕上げとの違い

商業クリーニングでは、次の機能を使って綺麗に速く仕上げを行っています。

  • ボイラーにより「きめ細かい蒸気」を大量に安定的にしっかり衣類に与えます。
  • バキューム(衣類を吸い付け理想の形に衣類を固定し、熱と水分を素早く奪う。)
  • ブロー(スチームの熱風を下から上へ、もしくは内部から外へ出す機能で、衣類の風合い、柔らかさを復活させる。)
  • ハンドアイロン
    家庭で使用されているものと形はほぼ一緒ですが、重さは比較的重く、先ほど述べたボイラーの蒸気が出るようになっています。家庭用アイロンも、内部に蒸気を作る機能がありますが、商業用のそれは蒸気の熱量と水分量が格段に大きいため綺麗に素早く仕上げることができます。

ドライとランドリークリーニングの仕上げの違い

仕上げには、繊維の弾性を失わせる水分が必要です。

  • ドライクリーニング品は、蒸気や霧吹きなどで水分を与えます。そしてアイロンのコテ面で加圧し整形、もしくはブローをして風合いを戻します。その後バキュームでその熱と水分を取り除き、形をキープさせます。
  • ランドリーのように水洗いした後は、繊維が水分で湿り(膨潤して)、洗いのもみと脱水で強いシワがついています。乾燥の際にたたきを加えてシワを減らし、完全に乾いた場合は大量の霧を打って湿らさないと仕上げられません。また、乾燥をせずに仕上げる方法と、程良い状態まで乾かし完全に乾かさず仕上げる方法があります。この場合は、アイロンや機械熱コテで熱を加えて湿度を取り除きながら仕上げます。これらの手法は主にシャツ・ブラウス・やテーブルクロス、シーツ、白衣などで素材によって使い分けます。

商業クリーニングでは、仕上げの方法は、各社それぞれ手順が定められており、上記の他に衣類は加工製品か? 飾り、素材、デザインなどが熱に弱くないか? 風合い重視の製品か? など総合的に判断、またお客様に確認しながら仕上げています。

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