クリーニング事故賠償基準は、クリーニング業者が処理した洗濯物に対して賠償責任を負う場合の賠償額を算出するための基準で、その中には商品別平均使用年数が設けられています。
繊維製品には、基本的に耐用年数のようなものはありません。
所有者が特に支障がないと考える限り着用や使用を続けることができます。

ただし、購入時の品質をそのまま保持することはできません。
着用や使用、洗濯やクリーニングによる自然発生的な変化、紫外線などの自然環境による劣化などが必ず生じるため、製品としての価値は減少していきます。

クリーニング業者が賠償責任を負う場合、賠償の対象になる洗濯物の価値をどのように評価するかが問題になります。
当然ですが、所有者とクリーニング業者の評価は異なるはずです。クリーニング事故賠償基準では、一般消費者が繊維製品を購入した時点から着用や使用をやめる時までの平均的な期間を平均使用年数としており、この平均使用年数に基づいて購入した時からの経過月数に応じた補償割合を賠償の対象になる洗濯物の価値として評価するようになっています。

着用や使用をやめる理由には、流行おくれになった、着あきた、似合わなくなった、サイズが合わなくなった、などということもあります。
平均使用年数は、こうした理由も含めて設定されたもので、単なる物理的に使用不能になるまでの期間、いわゆる耐用年数とは全く異なるものです。

前述したように繊維製品に耐用年数のようなものはありませんが、購入時の品質をそのまま保持することはできません。
そのため、クリーニング事故賠償基準では、購入時からの経過月数に応じて繊維製品の価値としての補償割合は低下していきますが、最終的に3%の補償割合が永久に続くようになっています。

※クリーニング業者には次のような注意すべき義務があり、賠償責任を負うのはこれらの注意義務のいずれかを怠ったことにより洗濯物に損害を生じさせた場合です。

  • (イ) 利用者からクリーニングの依頼を受けた洗たく物の機能、汚れの質と量、汚れの放置期間、染色の堅牢度などを的確に把握すること(洗たく物の状態把握義務)。
  • (ロ) (イ)の義務を尽くした上で、その洗たく物についてクリーニング処理が不可能な場合はクリーニングの引受けを断り、クリーニング処理が可能な場合には、最も適正なクリーニング処理を選択すること(適正クリーニング処理選択義務)。
  • (ハ) 本基準第2条の2に規定されている通り、洗たく物の受取及び引渡しに際して利用者と品物の状態について可能な限り相互確認をし、(イ)、(ロ)の履行に必要な内容に関して説明を行うこと(処理方法等説明義務)。
  • (ニ) (ロ)で選択し、(ハ)で説明したクリーニング処理方法を完全に実施すること(クリーニング完全実施義務)。
  • (ホ) 利用者から預かった洗たく物を適正な状態で引き渡すこと(受寄物返還義務)。

なお、本基準の補償割合は、最終的に3%を下りませんが、あくまでも賠償責任を負う場合の補償です。
利用者が品質に不満を感じても、クリーニング業者が職務を正しく遂行し、また、事故原因がクリーニングの過失でないことを証明した場合には、賠償責任を逃れます。(補償はされません。)