ドライクリーニングとトラブル【2018年8月】

Photo by Gerry Dincher on TrendHype / CC BY-SA

ドライクリーニングとは?

ドライクリーニングとは、有機溶剤を使うクリーニング方法です。
有機溶剤は、毛や綿などの親水性繊維を変形させないため、収縮等の不具合は、水洗いに比べてとても少ないです。
「ドライ」という言葉から、温風を吹き付けるような方法や、家庭洗濯機にある「ドライコース」などを思い浮かべる方も多いのですが、洗浄に液体を使う点は、洗濯と同じです。
ドライクリーニングが開発された頃、繊維製品はほとんどが天然素材でした。
このため、収縮しないというだけで、夢のような洗浄方法だと認識されたようです。
しかし近年は合成繊維や樹脂加工素材が増え、汚れ除去性も求められ、ドライクリーニングは、必ずしも、水洗いに勝るとは言えなくなっています。

ドライクリーニングの特徴

洗濯(水洗い)と比べて、以下などの特徴があります。

  • 型崩れや収縮が生じにくい。整形が楽。
  • 油汚れ、不溶性汚れがよく落ちる。(水溶性汚れは落ちにくい。)
  • 専用の機械設備やメンテナンス技術が必要。(単品処理は行いにくい。)
  • 洗浄乾燥機はドラム式(機械力がかかる。)
  • 乾燥は基本的には、タンブル処理。(回転式。機械力と温度がかかる。)

ドライクリーニングの3大要素とトラブル例

1.溶剤の樹脂溶解力

  • ポリ塩化ビニル素材の硬化
  • 接着装飾や塗装の脱落
  • 顔料染色製品の変退色

2.洗浄・乾燥時の機械力

  • 裁ち切り素材のホツレ、ルーズな編地製品の糸ツレなど
  • バックルやファスナー引手など、樹脂や金属素材の傷や破損
  • 絹素材、厚手綿素材製品などのワッシャー擦れ(生地折れ部の白化)

3.乾燥時の熱

  • ポリエステル素材の、シワ加工製品やプリーツ加工製品の状態変化(シワやプリーツの伸びなど)
  • 樹脂フィルム素材(光沢糸、ダウンパック、接着フィルムなど)の収縮・硬化など

その他 ドライクリーニング品のトラブル例

  • 汗成分残留による変退色(汗成分除去には水洗いがお勧め)
  • ポリエステルジャケットの汗成分蓄積による硬化(汗成分除去には水洗いがお勧め)
  • 白色素材のくすみ(水洗いでは、洗剤成分中の蛍光増白剤によって白さを付与できますが、ドライクリーニングではこれに該当するような方法がありません。)

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