ポリウレタンについて【2020年5月】
衣料品に使用しているポリウレタンには、「繊維」と「樹脂」があります。
繊維状のポリウレタンには特有の伸縮性があり、肌着や水着、各種スポーツウェアに使われています。伸縮性があるため、楽な着心地が好まれ、最近ではシャツやスーツなどにも幅広く使われています。
樹脂状のものでは、合成皮革の樹脂層やボンディング布(または接着布)の接着剤等に使われています。
ポリウレタン樹脂を使用した製品
合成皮革:布の表面に樹脂をコーティングしたコーティング加工布の1種。天然皮革に似せた素材で、天然皮革よりも軽く、色落ちや型崩れしにくい。
ボンディング布:2枚の生地を貼り合わせてできた1枚の生地。表側生地と裏側生地で異なる素材を使用することができる。
ポリウレタンを使用した製品には、以下のような短所もあります。
■劣化しやすい
・水分(湿気)の多い場所に長時間置く、光にあたる、皮脂が付着することなどにより、劣化が進みやすい
・ポリウレタンは素材製造後2~3年辺りから、伸縮性低下・軟化・硬化・剥離・にじみ出しによるシミやベタツキなどの不具合が発生しやすい
※ポリウレタン糸は他素材を巻き付けて使用しているため、ポリウレタン樹脂の期間とは異なるが、ポリウレタン糸の劣化は、伸縮性が低下し生地に伸びや波打ちなどの不具合が生じる。
■油分や色素を吸収しやすい
・肌が直接接触するコーディネートは極力避けるのが望ましい
・汗、飲食物、化粧品類、染色製品から流出した色素類などを除去しにくい
※洗浄液中の不純物(汚れなど)が少ない条件でクリーニングをするには、ドライクリーニングよりも水洗いが望ましい
ポリウレタン自体は、水洗い・ドライクリーニングのどちらでも可能です。組み合わせる素材にもよりますが、汚れを効果的に除去して永く愛用するには、水洗い・ドライクリーニングとも可能であることが望ましいです。
部分使いで合成皮革を使用していたり、外観では判別しにくいボンディング布を使用している場合、劣化の進行状況によってはクリーニングをすることで不具合が生じる可能性があります。
また、ポリウレタン糸も使用頻度や負荷のかかりやすい部位などでは劣化の程度も違ってきますので、注意が必要です。
販売時には提供されにくい素材情報ですが、素材の良い点や製品としての寿命が短い点など、特性を認識したうえでポリウレタン製品を楽しんでください。