ウールについて①【2021年4月】

今回はウールを産出する「ひつじ」について説明します。
ウールはJISの繊維用語の中では、天然繊維中の動物繊維中の毛のう(嚢)繊維※の中に分類されています。毛のう繊維にはウールの他に獣毛繊維と呼ばれる色々な動物から採取した毛が繊維製品として使用されています。
ウールは家庭用品品質表示法では「毛」「羊毛」「ウール」「WOOL」と表示することができます。「毛」は動物繊維の総称です。羊の毛であることを品質表示で伝えるために、
獣毛検査を行って「ウール」や「WOOL」と表示することもあります。
ウールは羊から採れる毛ですが、日本の湿潤な気候風土から羊の飼育に不向きであったため、日本ではあまり馴染みのない動物でした。現在でもそれほど多くの地域で飼育されてはいませんが、世界的には昔から馴染みのある家畜で3000種類くらいいるといわれています。
有名な羊の種類は次のようになっています。

①サフォーク種:原産国はイギリス サフォーク州
食用が多く、毛質は硬くクッションの中素材として使用。テレビアニメの「羊のショーン」のモデル。

②コリデール種:原産国はニュージーランド
用途は羊毛用と食用の両方。第二次世界大戦中に、日本軍の要請で日本でも100万頭を超える飼育があったが、現在ではほとんど飼育されていない。

③オーストラリア・メリノ種:原産国はスペイン
羊毛の王者といわれる。もともとはスペイン王国の厳重な管理下で飼育されていたが、スペイン独立戦争が契機となり欧米諸国に持ち出され改良が進み現在に至っている。

④マンクス・ロフタン種:原産国はマン島(イギリス本島とアイルランドの間にある島)
主に食用で、羊毛は濃い茶色が多く希少性がある。

衣料用ウールには「メリノウール」が多く使用されますが、「オーストラリア産」「フランス産」「ニュージーランド産」など産地によって性質も異なります。
オーストラリア産のメリノウールは繊維の太さによってファインメリノ(18~19マイクロメートル)、ミドルメリノ(20~22マイクロメートル)、ストロングメリノ(23~25マイクロメートル)に分類されます。
フランス産メリノウールはバルキー性が高くふっくらとした質感で、ダウンや布団の中綿として使用される機会が多いです。フランス北西部で飼育されている「ラムブイエ・メリノ」は希少性が高く、幻のウールと言われています。
ニュージーランド産のメリノウールは異物の混入が少なく、極めてピュアなウールです。
柔らかくしなやかな繊維は群を抜いています。ただし流通量は1%前後で希少性も高いです。

※毛のう(嚢)繊維・・・ある種の動物の外被状の毛、外被、頭髪または尾を形成する、ケラチン(角質)から成り、毛のう組織から産生される繊維。具体的には羊やヤギ、ラクダ、モヘヤ、ミンク、キツネなどがある。

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