虫食いについて
今回は虫食いについての話です。
今の季節、外は寒いですが建物や部屋の中は密閉性も高く暖房で暖かく快適な環境です。人にとって心地よい環境は衣類を食べる虫にとっても快適な環境となります。
衣類を食害する虫は成虫ではなく幼虫で、甲虫類のヒメマルカツオブシムシ(灰褐色、4~5mm)、ヒメカツオブシムシ(赤褐色、7~10mm)、蛾の仲間のイガ(淡灰黄白色、5~6mm)、コイガ(淡灰黄白色、6~7mm)が知られていますが、虫害を防ぐには衣類に卵を産み付けられないようにしなければなりません。特に起毛したウールやカシミヤ、アンゴラ等の柔らかい繊維は虫が好みますので要注意です。また。毛製品以外の毛皮や絹製品も被害に合うこともあります。
虫害は衣類の保管中に起きる事故です。消費者からは「家には虫がいません」と言われることがありますが、カツオブシムシは洗濯物と一緒に家の中に取り込まれることがあります。また、イガは飛ぶことが出来ますので窓から侵入することもあります。
「穴が空いている!」と気づくのは着用時だけでなく、クリーニング後にもあります。これはクリーニングによる摩擦作用等で繊維が脱落し、仕上げによって毛並みが整うことで、隠れていた穴が見えやすくなるためと考えられます。クリーニング受付時のチェックも重要です。
虫害を防ぎ長期保管するには防虫剤の使用が有効となります。防虫剤は虫を寄り付かせなくさせたり、虫の食欲を減退させる効果によって衣類を守る働きをしてくれます。現在いろいろな種類の防虫剤が販売されていますが、臭いのある「パラジクロルベンゼン」「ナフタリン」「樟脳(しょうのう)」等は併用すると液状物質が生成されシミとなることがありますので併用はお避けください。臭いのない「ピレスロイド系」は他の防虫剤との併用もできます。各防虫剤にはそれぞれ効きめのある期間、使用環境など特徴がありますので商品説明をよく読んでご使用ください。
また、衣類の害虫は人の食べ物や汗成分なども好むので、洗濯やクリーニングで汚れを取り除いてから収納します。収納場所は清潔にし、防虫成分が十分に行き渡るようにするため 適度な空間を残して、衣類を詰め込みすぎないよう収納してください。