レーヨン【2014年9月】

photo credit: The MacKay Way via photopin cc

ようやく夏も終わり秋が近づいてきました。今年の夏も店頭にはレーヨン素材の衣料品が並びましたが、レーヨンが含まれる衣類をお持ちの方も多いと思います。今回はこのレーヨンについてご説明します。

繊維を分類すると、動植物を原材料とし自然のままで繊維の形状をしているものを利用した天然繊維と、化学的な手法で人工的に作り出した化学繊維との2つに大きく分けることができます。レーヨンの原料は天然の木材パルプですが、化学的に薬品に溶かし細く長く繊維の形状に再生した繊維ですので化学繊維に分類され、その中でも再生繊維と呼ばれます。レーヨンは英語で記すと、rayonとなりますが、rayは光を意味し、光る繊維(光沢のある繊維)が名前の由来となります。レーヨンは家庭用品品質表示法で定められている指定用語で、日本ではレーヨンと表示されていますが、外国製の衣料品ではビスコース<viscose>と表示されているものもあります。

レーヨンの特徴はソフトな風合いで、そのため肌触りがよくドレープ性があり、光沢、吸湿性、染色性にも優れております。最近ではその吸湿性を利用して、春夏は吸汗速乾、秋冬は吸湿発熱などのインナー素材としても使われており、いろいろなカラーの製品が販売されています。

一方レーヨンには、水に濡れると乾燥時の約半分近くまでに強度が低下する、収縮しやすい、しわになりやすい、摩擦に弱いという欠点もあります。そのため夏物でもレーヨン100%で取扱い絵表示が水洗い禁止でドライクリーニングのみになっている製品も見受けられます。このように水洗いで収縮しやすいレーヨンですが、化学的・物理的に防縮加工を行い、日常の家庭洗濯で水洗いができる製品も出ています。その他、着用や洗濯の摩擦により、毛羽立ちが発生したり色が白っぽく見えることがあったり、雨や水などに濡れるとシミのような跡が残るウォータースポットと呼ばれる状態になることもありますので、アパレルでは取扱いの注意表示を付けることが望まれます。

レーヨンにはドレープ性や染色性など優れた特性がいろいろあります。特性を活かしたレーヨン素材のファッションをお楽しみください。

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