毛を用いて紡績した糸はすべて毛糸と呼ばれます。原料となる毛の種類には羊毛、モヘヤ、アルパカ、らくだ、カシミヤ、アンゴラなどがあります。
衣服用ではありませんが保温、防熱、防音用フェルト地に牛毛が、バイオリンの弓やブラシの毛、芯地に馬毛が使用されています。
ここでは羊毛の梳毛と紡毛について説明します。
梳毛は毛足の長い羊毛を引き揃え短い毛を取り除き梳毛紡績して糸にしたものです。
糸の撚りは強めで、糸全体に均一に撚りがかかり表面は滑らかで光沢感があり、織物になったものは表面が綺麗な、凹凸感の少ないスーツ地に使用されます。

梳毛織物には サージ、ギャバジン、トロピカル、ポーラ、ドスキン、ベネシャン、シャークスキンなどがあります。

紡毛は粗雑で短い羊毛を主体として、紡毛紡績して糸にしたものです。
梳毛に比べ糸は太く外観は粗雑に見えますが、柔らかく、起毛しやすく、保温性に富んでおり、織物になったものは凹凸感のある、冬用のジャケットなどに使用されます。

紡毛織物には、フラノ、メルトン、ツイード、ホームスパン、サキソニーなどがあります。

それぞれの製造方法は次のようになっています。

梳毛

  1. 撰毛:原毛の俵を開いて、フリース1枚ずつをテーブルに広げて、品質のよい部分と悪い部分とを撰別する。
  2. 洗毛:原毛にはグリース、汗、ふん尿、土砂、草木の枯れ葉などが付着しているため撰毛後、石鹸とアルカリを使用して洗浄する。
  3. カーディング:わた状の洗浄の終わった羊毛を直接梳毛機(カード)にかける。この機械で夾雑物(きょうざつぶつ)や短い毛を除くと同時に、からみ合っている毛のかたまりをさばきつつ、毛を引き伸ばして、平行状態にそろえ、最後にスライバーの形にする。
  4. コーミング:スライバーはまだ太さが不均一であり、繊維は完全に平行状態になっていないため、ギル・ボックスという機械にかけ、数本のスライバーを合わせて、これを数倍に伸ばすことを2~3回繰り返して、太さのむらを平均化するとともに、繊維をまっすぐに引き伸ばして平行状態に配列する。この機械で出来上がったスライバーをコーマーにかけて、目の細かい櫛でくしけずって長い毛と短い毛を分離するとともに、混入している夾雑物やネップなどを除去する。その後、コーミング中の汚れを除去し、スラーバー上で保管する。
  5. 前紡:スライバー状のものはまだ太さがあり、精紡機にかけられないので、順次細く引き伸ばす。
  6. 精紡:前紡工程で細くした篠(しの)を精紡機にかけて、約10~20倍に引き伸ばして、所要の細さとし、適度な撚りをかけて糸とする。日本ではリング精紡機とミュール精紡機が多く使用されている。

紡毛

  1. 原料準備:原料を整理仕訳し、塵埃や植物性夾雑物などを各種方法で取り除く。
  2. カーディング:梳毛製造と同じようにカード機にかける。スラーバー状のものが出来上がる。
  3. 精紡:スライバー状の粗糸を適当に引き伸ばし、撚りをかけて糸にする。ミュール精紡機を使用することが多い。
  4. 包装:通常は紙管に巻いたものに木箱に詰められて発送される。

 

これでわかるように、梳毛の方が非常に工程が多い作り方です。
毛織物は非常に有用な織物で、梳毛、紡毛ともそれぞれの特色に合わせ使用されており、どちらが優れているとは言い難い面があります。
衣料用だけでなく家具類など、色々な製品にも多く使用されていて、今一度毛製品のよさに気づいてほしいです。